【天才?】奨学金借りてインデックス投資はアリ?ナシ?メリットとデメリットを検証!
5ちゃんねるでこんな人を見つけました。
これを見た人は、
マジか!
でも本当にこんなうまくいくの?
借金して投資なんておかしいわよ。
しかも奨学金なんて…
こういう感想を持つと思います。
この記事では、つみたてNISAでインデックス投資をやっている東大生の私が
について解説します!
わからないならやめとけ!やめとけ!
インデックス?奨学金で投資?
なになに?得なの?
まず言っておきたいことが、
「投資についてよくわからない人はやめておけ」
ということです。
冒頭の5ちゃんねるの人のセリフを見て、
- 「S&Pってなに?」
- 「利回り7%ってすごいの?」
- 「インデックスファンド?普通の株と違うの?」
こういう疑問が湧いた方は、これから勉強するのでなければ
やめた方が無難です。
資産運用の世界では、
「返済に勝る運用なし」という金言があります。
借金の利息は返済すれば確実に消えていく負債ですが、
投資で得られる利益は、どこまで行っても不確実なもの。
絶対に7%で増える、というわけではないのです。
「よくわからないし、勉強する気もないよー」
という人は、投資なんて考えずに
コツコツ貯金しましょう。
奨学金でインデックス投資をするメリット
インデックス投資自体は、非常に優れた投資方法です。
インデックス投資は「投資の最適解」とまで呼ばれており、
ブログやYouTubeでたくさんの方が紹介されているのでそちらをご覧ください。
ここでは、奨学金との関係に的を絞って考察します。
メリットは、
- 利率の差→稼げる
- 低リスクでレバレッジを効かせられる
です。
利率の差→稼げる
奨学金は年利0.02パー
対してS&P500の利回りは7パー
奨学金の貸与利率を、インデックス投資の利回りが上回れば
その分だけ稼げるということ。
(投資利回りと借り入れ利率の差を「イールドギャップ」と呼んだりもします。)
イールドギャップが大きいほど、効率よく稼げます。
ここでは奨学金の利率とS&P500連動のインデックスファンドの
イールドギャップを見ていきましょう。
奨学金の利率は?
奨学金の利率は2021年6月現在、
- 利率固定方式で0.268%
- 利率見直し方式で0.003%
と、歴史的に低い水準にあります。
また、市場金利の上昇等により利率が見直された場合でも、
利率が3%を超えることはありません。
(出典:https://www.jasso.go.jp/shogakukin/moshikomi/houhou/riritsu_sentaku.html)
無収入の若者がここまで恵まれた利率で借りることのできるローンは
他にはありません。
S&P500のインデックスの利回りは?
このグラフは、S&P500インデックスに連動するETF、「SPY」のパフォーマンスです。
eMaxis slim 米国株式(S&P500)や、SBI・V・S&P500インデックスファンドなどの
投資信託を利用する場合、信託報酬等のコストが0.1%ほどかかりますが
ここでは基本的には同等のパフォーマンスだとお考えください。
S&P500に投資することによって、
- ここ10年では1年あたり14.24%
- 1993年以来の28年間では1年あたり10.35%
の平均利回りがありました。
イールドギャップ
例えば、奨学金を2021年6月の貸与利率0.268%(利率固定方式)で借り、
投資利回り10.35%で運用できた場合には、
イールドギャップは
10.35 - 0.268 = 10.082
となり、10%の利回りで運用できることになります。
奨学金の利率は変動しても3%を超えることはありませんから、
S&P500インデックスがこれまでのような成績をおさめ続ける限り、
かなり儲かるということになります。
ローリスクでレバレッジを効かせられる
投資は、資金が多いほど
複利の効果で雪だるま式に増えていくので、有利になります。
奨学金は、
- 返済期間は15年〜20年
- 住宅ローンと違い資金の使途制限が緩い
- 経済状況によって返済猶予など
柔軟な返済方法が用意されている - 成績次第では利息免除がありうる
といった、普通の借り入れでは考えられないほどの好待遇。
また、大学生が第二種で借りる場合、
月額12万円まで借りることができます。
4年間で576万円です。
これほどの大金を、無収入・低収入の学生が
ローリスクで借りられる方法は他にありません。
奨学金でインデックス投資をするデメリット
ここでは、奨学金でのインデックス投資のデメリットを解説します。
デメリットは、
です。
けっこうたくさんありますね。笑
積立期間が短い・選べない
積み立て投資では、一般的に投資期間を長くとればとるほど、
時間の分散が効いてリスクが抑えられます。
奨学金を月に1回もらい、それをそのまま積み立てていく場合、
大学生なら4年間しか積み立てられません。
この積み立てをしている4年間の相場が割高だった場合は、
「何年経っても戻らない…」
ということがあり得ます。
暴落時の返済で大きくお金が減る恐れ
奨学金で投資をする場合、
「取り崩しの時期と金額を自分で決められない」というリスクがあります。
次の図をご覧ください。
ブラックマンデーの際には、
30%も下落しています。
この時には、短期的に運用資産は
「利回りを食いつぶして、30%も目減りした」ということです。
急落している時に大きく取り崩すと資産が大きく目減りしてしまいます。
もっとも、奨学金の返済は、
- 月3万円程度
- (借り入れ額によるが)最長20年間かけて返済する
- 支払猶予の制度もある
ので、あまり暴落リスクを気にすることはないかもしれません。
*返済の参考シュミレーション
心理的リスク
大金を持ってしまう心理的リスクは見逃せません。
- 月々入ってくる奨学金を浪費
- 途中で運用資金を取り崩してしまう
ということがあっては、
いくら奨学金によるインデックス投資がローリスクといっても
失敗します。
不動産投資をしている人が、
借り入れによる資金を儲かったお金と勘違いして使ってしまい、
あとあと物件の修繕費やローン返済に困る事例は多いです。
借り入れにより投資する場合、
手元にあるお金が借金によるものだということを忘れてはいけませんね。
「借金慣れ」してしまう可能性
奨学金は、教育ローンという借金。
奨学金を借りて投資をすることで、良くも悪くも借金に慣れてしまう可能性があります。
お金儲けのための借金だから、
生活苦になったりしないよw
と思うかもしれませんが、レバレッジジャンキーになる可能性があります。
不動産投資や太陽光発電投資、コインランドリー投資など、
他のレバレッジをかける投資にハマる可能性があります。
適正なレバレッジなら、少ない手もと資金で投資ができるメリットがありますが、
レバレッジジャンキーになってしまうと、知らないうちに大きなリスクを取ってしまいますよ。
奨学金でのインデックス投資も、決してリスクは低くありません。
奨学金でのインデックス投資がきっかけで、
大きなリスクを取って投資するのが当たり前になってしまうかも、という話です。
返さなければいけないプレッシャー
借り入れた奨学金は、返済免除でもされない限り
「絶対返さなければいけないお金」です。
期限が来れば返さなければいけないお金を、
投資というどこまで行っても不確実なものにつぎ込むことで
心理的にプレッシャーを感じるかもしれません。
「過去の記録から、15年以上の長期で見れば負け無し」と言われている*
S&P500インデックス連動の投資でも、これから先の未来は誰にもわかりません。
プレッシャーを感じるようなら、やめておきましょう。
*参考:https://www.mag2.com/p/money/33942/3
未来の世代が借りにくくなる可能性
これは個人にとってではなく、社会にとってのデメリットです。
JASSOの平成28年度第1回運営評議会議事録によれば、
奨学金の使途については、特段制限を設けていない…使途の調査は難しい面があるが、JASSOでは様々な調査を実施しており、 それぞれの調査結果から使途について調査・分析することは可能だと考えている。
との発言があり、
今後の使途調査がより厳格化される可能性があります。
未来の奨学生が、「毎月使途を家計簿にまとめて報告しなければならない」
といったムダな作業を課される可能性もあるでしょう。
人間性を疑われるかも
JASSOの奨学金の財源は、
- 税金からの無利息貸与
- 利用者からの返還金
で成り立っています。
出典:https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h25pdf/201312301.pdf
そしてJASSOの奨学金の目的は、
経済的理由で修学が困難な優れた学生に学資の貸与を行い、また、経済・社会情勢等を踏まえ、学生等が安心して学べるよう、「貸与」または「給付」する
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/index.html
ということ。
簡単に言えば、「進学のために使ってね」ということです。
投資に使うのはどう考えても奨学金制度の目的に反しています。
俺、奨学金借りて投資してるんだ〜
なんてうっかり喋ったら、人間性を疑われかねません。
秘密にしていても、
結婚相手とかにはバレるかもしれません。
不必要なのに奨学金を借りて投資するのは、
倫理的にどうか?という問題があります。
やりたい人はやればいい
直前でキツイことも書きましたが、私自身は、
「やりたい人はやれば?」と思っています。
奨学金制度自体が合法詐欺というか、
普通は「奨学金」と言えば「返さなくて良いもの」のことを言います。
貸与期間が終了してから、返さなければいけないと知った人が
延滞者の19.1%にもおよぶことがわかっています。
出典:https://resemom.jp/article/img/2019/04/01/49903/230941.html
「もうちょっと調べようよ〜」とも
思うけどね。
有利子で貸し付ける奨学金の本質が「金貸し」であり、
現状では使途制限も設けられていない以上、
「やりたい人は自分のリスクでやれば。ちゃんと返しなよね。」と思っています。
なお、私自身は制度の抜け穴を突くやり方は
あまり好きではないので、やりません。
まとめ
JASSOの第二種奨学金を借りてインデックス投資をするのは、
- 理屈上はアリ
- 倫理的にはナシ
ということに。
やりたい人は、しっかり勉強して
- 奨学金を投資に回すとどういうリスクがあるのか?
- リスクをリターンが上回るのか?
をよく考えてからやってください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。